呼吸器専門医Aがクリニック開業を志すまで②

卒業してからK総合病院を退職するまではずっと病院勤務の毎日でした。この36年間の間に、呼吸器内科にとって最もメインの学会である日本呼吸器学会(呼吸器専門医や呼吸器指導医の認定をするのもこの学会です)では臨床諸問題学術部会の責任者や関東甲信地方の病院・大学が参加する関東地方会の会長も務め、国際学会での発表や多数の論文、書籍の執筆も行い、「勤務医としてやり残したことはもうない」と言える状況に達しました。医療過疎地では医療機関の役割分担が行われておらず、K総合病院のような巨大病院がかかりつけの役割も担いますが、都市部で役割分担が進んでいるところでは、プライマリケア医がかかりつけの機能を担い、基幹病院の専門医が紹介を受けます。そこで呼吸器内科の診療を行って感じたのは、呼吸器の病気に対してかかりつけの先生によって必ずしも最適な診療が行われていないということでした。

このことから自分の次のステップとしてかかりつけ医として呼吸器の病気の最良の診療を行うことを考えるようになりました。それはK総合病院の勤務の最後の年でした。

K総合病院を離れる日、病院の前で初期研修医だった娘と

同じころ、娘が医師となり初期研修を始めた年でもありました。娘も地域のかかりつけ医としての医療に携わることを将来のビジョンとして持っていたので、同じ方向を向くことができたわけです。
(2023年3月29日に記載)