満開の桜に思う行動制限解除と新型コロナウイルス感染症

「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」(在原業平朝臣)。「願わくは花の下にて春死なんその如月の望月の頃」(西行)。この二つの和歌は誰でも知っている桜が詠われている傑作ですが、万葉集にも桜を詠んだ歌は多く、桜を愛する心は大和時代から私たち日本人のDNAに受け継がれてきた様です。今年は4年ぶりの行動制限がない桜のシーズンを迎えました。
娘がこの4月から茨城県の病院勤務となり、先日引っ越しの手伝いという口実で茨城に行ってきました。当日はとてもよい天気で水戸の偕楽園から千波湖畔の満開の桜並木を歩いてきました。

水戸千波湖畔の遊歩道で ウーちゃんと

千波湖畔はジョギングコースとサイクリングロードも兼ねていて、大勢の人出でした、ジョギングやサイクリングの人はほとんどがマスクをしていませんでしたが、東京の上野公園や目黒川沿いほど密ではないのに、歩いている人は7割程度がマスクをしていました。3月13日を以てマスク推奨も解除され、各自の判断に任せるとの政府のアナウンスですが、日本人は個で判断し行動することが苦手というのもDNAに受け継がれてきた日本人の形質の様に感じています。マスク推奨がなくなり、爆発的にコロナが増えるかと恐れていましたが、明らかにコロナが増えたと感じられる様になったのは3月24日ぐらいからでした。しかも爆発的な増加ではなく、緩やかな増加です。10年ぶりと言われる花粉の大量飛散も相まって確かにマスクをしている人は世の中に多く、オミクロン株対応の2価ワクチンのブースター接種もそれなりに進んだこともコロナの増加を多少抑制しているかも知れません。新型コロナワクチンの接種が始まった頃から世の中にはワクチンを忌避する動きも少なくなく、3月31日で公的接種も終了してしまいました。桜の季節はもうすぐ終わりますが、ヒノキ花粉飛散の時期が終わって、マスクを皆がしなくなったときコロナがどうなるのか、ヒノキ花粉の時期が終わる頃にウイルス(SARS-CoV-2)そのものは変わらないのに新型コロナウイルス感染症は2類から5類疾患に変わります。5類に変わると世の中ではなんとなく新型コロナウイルス感染症はすでに過去の病気と言った根拠のない安堵感が蔓延しそうです。流行状況を正確に知ることができ、医療従事者だけでなく、一般の人が個々の判断材料にできるような情報を得ることができるのかが一番の懸念です。まさに「世の中にたえてコロナのなかりせば医者の心はのどけからまし」といいたい気持ちです。
(2023年4月2日に記載)