新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は今どうなっている?

建築、美術館の話が続いたので、今回は健康の話題に戻ります。


5月8からCOVID-19は2類感染症から5類感染症へと位置づけが変わりました。
これに伴い毎日あったCOVID-19の発生状況のメディアでの報道も行われなくなりました。政府からマスク使用は各自で判断するようにと言うアナウンスを受けて、マスクを装用している人、外している人は混んだ電車の中でも様々です。皆さんはどのように判断されているでしょうか。なんとなく着けたり外したりでしょうか。本来であればコロナの発生状況など判断材料があった方がよいのではと思うのですが、経済を回すために政府からの指導によるのか、独自の判断なのかメディアでもほとんどと言ってよいほど情報の提供はないですよね。

日々の公表はないものの東京都のモニタリング解析情報は東京都福祉保健局のホームページで毎週公表されています。 5類になってからは1週間毎の定点あたりの患者報告数が示されています。結局自分で検索しないと情報が得られないわけです。

東京都福祉保健局のホームページから引用

それによると例えば6月8日公表分で定点あたり5.29人という数字で、5類移行時の1.41の3.75倍くらいに増えています。行動制限解除から5類移行時まではあまり増えていなかったのに、5類移行からは確実に増加しています。

東京都福祉保健局のホームページから引用し一部加筆

定点あたり5.29という数字は、過去に照らすと第8波であれば昨年11月初旬あるいは今年1月末あたりと同じ数字で、2類として全数把握の当時の患者数であれば東京都では1日の発生患者数約6,000人の発生状況に相当します。

東京都福祉保健局のホームページから引用し一部加筆

本来、行動の根拠になるデータを提示した上で各自での行動の判断を促すべきと感じています。それを行っていないのはメディアが情報提供の責任を果たしていないように感じます。
たしかにウイルスの株も変異し現在のXBB系統では重症例は少ないように感じますし、若年者が多いので、深刻な事態となることは少ないですが、やはり家族内感染はいまだに多く存在します。日本ではワクチン接種率が高かったことも関係して、COVID-19にかかったことがある人は全人口の約半数と、諸外国に比べると低いですが、そのため逆に免疫が弱いとも言われています。一度かかったら終生免疫が得られる訳ではなく、再感染例も少なくありません。

治療薬も増えましたが、治療を受けるには医療機関を受診し診断、処方をしてもらうことが必要です。抗SARS-CoV-2薬のうちラゲブリオは一般流通薬になりましたが、ゾコーバ、パキロビットは政府管掌の位置づけです。ラゲブリオはもちろんCOVID-19に対して保険が適応ですが、1日薬価は1万8862.40円でこれを5日間の経口投与で用いるため薬価だけで10万円近くなりますよね。つまり自己負担3割だと薬だけで3万円、1割負担でも1万円で、結構かかります。以前から言われているように若年者では風邪と変わりなくても、高齢者に伝染し発病すると死に至る病になることも少なくない病気であると言うことを思い出して欲しいと思います。

メディアでは話題にされなくなりましたが、決してコロナが世の中から一掃された訳でもなんでもありません。逆に増えていることは知っておいた方がよいでしょう。ラゲブリオは高齢者、基礎疾患を持っている人が対象となりますが、治療費を考えれば予防の重要性は依然として変わりないですよね。かかったら薬を飲めばよいという考えはいかがなものかと思います。こういった流行状況にアンテナを張り、予防の大切さを忘れずに、その上でマスクを着ける着けないを判断するようにしてみてはいかがでしょうか。