大腸ポリープを切除しました

レジデント2年目の1985年に盲腸の憩室炎で大腸の手術を受けました。憩室というのは消化管の壁が外側に袋状に張り出した状態で、食道、胃、小腸、大腸のどこにでもできますが、大腸が最もできやすい場所です。この憩室に炎症が起きたものを憩室炎といい、激しい痛みを伴います。1個だけでなく、複数できることが多く、2006年にも日帰り旅行先で憩室炎を起こして、1泊入院旅行になってしまったことがありました。

憩室とは逆に腸の中に飛び出す隆起性の病変がポリープです。以前からK総合病院の人間ドックで大腸ポリープを指摘されていましたが、判定はずっと「経過観察、2年後にフォロー」だったのですが、なぜか昨年9月に受けた大腸内視鏡検査では「1年以内に切除を勧める」との判定になったために、開業する前に切除することを決心しました。
大腸内視鏡は施行医によって上手い下手の差がかなりあり、下手な人に当たると検査に時間がかかり辛い思いをします。また鎮静剤に何を使うかでも楽と辛いの差があります。以前に受けたときは鎮静剤に麻薬に分類されるペチジンが使われていて、鎮痛作用を有する一方で、催眠作用が少なく、検査内容を覚えていて、検査時間が長い先生に当たってとそれなりに辛く感じたことがありました。また検査が終わってもボーとするような感じが残り気分があまりよくありませんでした。

5月26日に日帰りで、現在勤務しているクリニックと同じ法人に属する病院で内視鏡的大腸ポリープ切除を受けました。今回の大腸内視鏡では鎮静剤にミダゾラムを、また腸の蠕動を押さえるためにブチルスコポラミン臭化物(ブスコパン)を使っていました。いわゆる鎮痛剤は使われていませんが、ミダゾラムは「前向性健忘」がよく知られていいる薬剤で、検査開始直前に注射をされて、実施する先生が「それでは内視鏡入ります」のかけ声で内視鏡が挿入される(大腸内視鏡ですのでもちろんお尻からの挿入です)頃にはウトウトし始め、「それでは後は内視鏡抜いて終わります」のかけ声で目が覚めました。「前向性健忘」というのは薬が投与されてからの記憶がなくなることで、検査中は完全に睡眠状態ではないのですが、半覚醒状態の間に経験した辛いことの記憶がなくなります。今までK総合病院時代には気管支鏡検査を自分で実施していましたが、その際にもミダゾラムを用いていいました。気管支鏡検査では生検を行う際に気胸などの合併症を防ぐため、患者さんに呼吸を止めてもらうことがあります。その際には指示が入ることが重要ですので、ミダゾラムを使うと安全に検査を行うことができ、それでいて後から聞いてみると辛い記憶が飛んでいて便利な鎮静薬であるという印象を持っていました。今回は自分がミダゾラムのお世話になり、前向性健忘のメリットを享受しました。もちろん術者が上手であったことは言うまでもありませんが、短時間で終了しとにかく全く苦痛を感じませんでした。

切除そのものは楽だったのですが、切除後2週間は禁酒、さらに腹圧のかかる強い運動(ランニング、ゴルフ、水泳など)も控えなければならず、辛い日々が続きました。2週間経ってやっとアルコールと運動が解禁になりましたが、2週間アルコールフリーで生活したおかげで、今まで全く休肝日がない生活をしてきた自分が休肝日を設けることができるようになりました。

開業に向けて、生活習慣の改善にも取り組んでいます。